「共有持分を売りたいけど、どれくらいで売れるだろう?」
「相場がわからないから売りづらい」
このように考えていませんか?
相場がわかれば売却を前向きに検討できますよね。
この記事では、共有持分の売却相場と売却時に気をつけるべきポイントをプロが分かりやすくご案内していきます。
目次
共有持分を売却するときの相場の算出方法と具体例
共有持分の売却額の相場は、次の計算式で算出できます。
- 持分の割合 × 市場価値 = 持分価格
- 持分価格 x 30~60% = 共有持分の売却額の相場
持分価格とはあなたの所有する共有持分の不動産の価格です。
相場は持分価格の3〜6割(30〜60%)になるのが一般的です。
具体例を挙げます。
- 共有持分の売却価格の事例
パターン | 計算式 |
---|---|
夫婦で共有、市場価値5,000万円の場合 | 5,000万円 × 1/2 x 30~60% = 750~1,500万円 |
父親と2人兄弟で共有、市場価値6,000万円の場合 | 6,000万円 × 1/3 x 30~60% = 600~1,200万円 |
相続で5人で共有、市場価格8,000万円の場合 | 8,000×1/5=1,600万円 x 30~60% = 480~960万円 |
共有持分の売却額の相場算出に必要な「あなたの持分割合」を知る方法
持分割合とは、あなたが所有する共有不動産の割合です。
共有名義に人の数や持分の割合は、次の書類に記載されています。
- 登記事項証明書
- マンションの売買契約書
登記事項証明書とは、土地や建物の場所・面積・所有者(共有者)・担保があるか(抵当権)などの権利関係が全て記されたものです。
この書類は法務局が発行していて、法務局の窓口またはオンラインか郵送で請求することができます。
共有持分の売却額の相場算出に必要な「土地の市場価値」を知る方法
不動産の市場価値を把握する2つの方法は2つあります。
- 書類の市場価格を見る
- 市場価値を推測する
それぞれご案内していきます。
書類の市場価格を見る
- 固定資産税納税通知書を見る
- 固定資産評価証明書をチェックする
あなたの不動産の市場価値を知る一番確実な方法です。
それぞれご案内していきます。
固定資産税納税通知書を見る
固定資産税納税通知書とは、固定資産に対する納税額が記載された書類です。
「土地及び家屋の価格欄」に不動産の評価額が記載されています。
この書類は毎年4〜6月に、共有名義の代表者にだけ届きます。
- 最も持分が多い人
- 課税対象の不動産がある市内在住の人
- 登記簿の記載順序が早い人
- 納税代理人
固定資産評価証明書をチェックする
固定資産評価証明書とは、固定資産税課税対象の資産評価額を証明する書類です。
この書類の価格欄に、課税対象の不動産の評価額と共有持分が記載されています。
役場に申請すれば発行してくれます。
市場価値を推測する
- 不動産の一括査定サイトを使う
- 国土交通省の不動産情報ライブラリを使う
- 公的評価を調べる(土地)
- 実勢価格を知る(土地)
- 実際の売買取引価格を調べる
- 物件検索サイトの売り出し価格を見る
お住いの地域の不動産価格を知り、その数字を元に、あなたの所有する共有不動産の市場価値を推測するという方法です。
それぞれご案内していきます。
不動産の一括査定サイトを利用する
不動産の一括査定サイトとは無料で数社の査定を一気に受けられるサイトです。
簡易査定、またはAI査定でおおよその不動産の価格(相場)が分かります。
国土交通省の不動産情報ライブラリを使う
国土交通省の不動産情報ライブラリとは、国土交通省のWEBサイトです。
あなたの持つ不動産の近くで実際に取引された土地や家屋の価格を知ることができます。
公的評価を調べる(土地)
公的評価名 | 調べられるサイト |
---|---|
国土交通省が3月下旬に発表する公示地価 | 不動産情報ライブラリ |
都道府県が9月下旬に発表する基準地価 | 不動産情報ライブラリ |
国税庁が7月に発表する路線価 | 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表 |
こうした公的機関の評価は、市場価値の推測にお使いいただけます。
実勢価格を知る(土地)
実勢価格とは、不動産が実際に売買された価格です。
ひとつ前にご案内した公示地価を用いて実勢価格を知ることができます。
公示地価が不明な場合は、路線価または固定資産評価額を使って知ることができます。
用いるデータ | データと実勢価格の関係 | 計算式 |
---|---|---|
公示地価 | 実勢価格は公示地価の1.1~1.2倍になることが多い | 公示地価(㎡あたり)×1.1×土地面積(㎡) |
路線価 | 路線価は公示地価の80%程度になる | 路線価(㎡あたり)÷0.8×1.1×土地面積(㎡) |
固定資産評価額 | 公示地価の70%が固定資産として評価される | 固定資産評価額÷0.7×1.1 |
実際の売買取引価格を調べる
レインズマーケットインフォメーションで実際の売買取引価格から相場を掴むことができます。
先ほどご案内した国土交通省の不動産情報ライブラリと同様の情報を得られます。
物件検索サイトの売り出し価格を見る
購入者向けの物件検索サイトを使うという方法です。
現在の物件の売り出し価格から相場を掴むことができます。
共有持分の売却相場が低い6つの理由
なぜ持分価格より相場が低くなるのか、その理由をご案内しますね。
①自由に処分、管理することができない
共有不動産を利用するには、他の共有者との話し合いが必要です。
修繕や賃貸にしたいといっても、ほかの共有者との話し合いで決定しなければいけません。
②管理費や税金の負担がある
管理費や税金を持分に応じて負担する必要があります。これを共有持分権といいます。
他の共有者とそのやり取りをする手間がかかります。
-
共有持分の不動産には共有持分権が適用されます。
共有持分権とは、不動産の持分割合に応じて発生する権利です。
③収入を分配する必要がある
収入にも共有持分権が適用されます。
ですので、賃貸などで得た収入を、ほかの共有者と分ける必要があり、その手間がかかります。
④相続が繰り返されるとトラブルになりやすい
相続が繰り返された物件では共有人が誰で何人いるのか把握しづらいことがあります。
想像以上に多くの人でひとつの不動産を共有していることがあるためです。
関わる人が増えた分、トラブルが起こる確率が跳ね上がります。
⑤共有者が占有している場合は住めない
不動産の共有者全員に不動産全体を使用する権利があり、住んでいる場合は出て行ってもらえません。
⑥勝手に不動産を貸せない
共有者の過半数の同意がないと管理行為は行えません。
管理行為とは、賃貸借契約の締結や解除のことです。
- 共有者の過半数にあたる例
共有のパターン | 人数 |
---|---|
2人で50%ずつ共有している | 1人 |
5人で20%ずつ共有している | 3人 |
7人で共有していて1人が40%残りが10%所有している | 5人または40%所有している人が含まれる場合は2人 |
また、共有持分の不動産を賃貸に出したいと相談したときに、ほかの共有者が同意か拒否かの意思を示さない場合があります。
その場合は裁判所の判決にゆだねることになります。
共有持分を相場以上で売却する3つの方法
共有持分を相場以上で売る方法を3つご案内します。
①共有持分の売買に強い不動産業者に相談する
共有持分の売買に強い不動産会社であればスムーズに取引できます。
そもそも共有持分の不動産を取り扱っていない会社があるため、共有持分の不動産を取り扱っているかを事前に調べる必要があります。
②ほかの共有者から持分を買取る
ほかの共有者から持分を買い取り、持分を増やすか単独名義にするという方法です。
単独名義にできれば普通の不動産になるため、市場価格に近い金額で売ることができます。
ただ、共有持分の過半数を所持している場合、次のようなケースでは同意不要です。
③共有持分の不動産の市場価値を下げる欠点を無くす
共有持分の不動産が抱える欠点を解消しておくと、相場以上で売却できる可能性が高まります。
例えば老朽化した建物を修繕することで利益が増えるケースです。
-
修繕しない場合の売却価格が5,000万円だったとします。
400万円の修繕をすれば、売却価格が6,000万円になるなら、差し引き5,600万円ですので、修繕をします。
共有持分の4つの売却先を解説
共有持分の不動産は売却先が限られます。
売却先の候補を高く売れやすい順に4つご案内します。
①不動産買い取り業者
業者が提示した買取査定額に納得できればすぐに売却できます。
ただし、査定額は市場価格からかなり下がることが一般的です。
②不動産売却仲介業者
仲介業者が買い手を探してくれるので、その買い手に対して売却します。
欲しい人が買ってくれるので、査定額が高く提示されるケースが多いです。
- 買い手を探すのに時間がかかる
- 仲介料がかかる
③ほかの共有者
他の共有者が持分を増やして単独名義にすること考えているなら、売却しやすいです。
持分価格からほとんど下げずに買ってもらえることがあります。
- タダ同然で譲ってほしいと言われる可能性がある
- 身近な人とトラブルになる可能性がある
④投資家
投資家は、利益が出ると判断すれば多少リスクのある不動産でも買い取ってくれます。
- 利益が出ない場合、相場以上での買取が期待できない
- ほかの共有者と投資家が共有持分権の行使でトラブルになる
共有持分を相場以上で売るための売却先の選び方
それぞれ理由をご案内していきますね。
①共有持分の請負実績が多い業者を選ぶ
ノウハウがある業者であれば利用価値を見出してもらいやすいからです。
共有持分の不動産を取り扱う業者の中でも、買取りや仲介の実績が多い業者を選んでください。
②弁護士や司法書士等の専門家と連携している買い手を選ぶ
トラブルに備えるためです。
業者を介さずにあなたが投資家やほかの共有者と取引する場合には、事前に不動産取引のトラブルに強い専門家を探しておくと良いです。
③親身に話を聞いてくれる買い手を選ぶ
トラブルを起こさないためです。
業者や投資家に売る際のトラブルとして強引に安値で買い取ろうとしてくることが考えられます。
気持ちよく売却できる業者及び投資家かを取引の中で注意しておいてください。
(ここには売れないな)と思ったら取引しないでください。
共有持分を売却する手順
①売り出し価格を決める
不動産業者に訪問査定してもらうのが一般的です。
現実的に買い手がつく値段を設定できるからです。
②買い手を決める
価格を決めたら次は買い手を探します。
買い手、つまり売却先の探し方は前にご案内した通りです。
- 優先購入権とは、共有持分を第三者が購入する前にほかの共有者が優先して購入できる権利。
- ほかの共有者からの同意がなくてもあなたの持分の不動産は売却できる。
- ただし、ほかの共有者は第三者より優先的に購入できる。
手順をご案内していきます。
③売買契約を結ぶ
不動産売却時には不動産売買契約書を作る必要があります。
司法書士や行政書士に作成してもらうのが一般的で、費用の相場は1〜3万円です。
売り手が不利益を被る内容になっていないかを専門家に確認してもらうと安心です。
④決済等の手続きをする
買取金額を受け取り、法務局で所有権移転登記を行えば、売却手続きは終了します。
所有権移転登記とは、家や土地の所有者が変わったとき、不動産の所有権を新しい所有者に書きかえる手続きです。
オンラインまたは法務局の窓口で手続きできます。
次の費用が必要です。
- 司法書士に依頼する場合は3~15万円
- 登録免許税が土地、家屋それぞれ2%
事前に必要書類と申請書を用意しておく必要があります。
- 登記識別情報
- 固定資産評価証明書
- 印鑑証明書と実印
- 住民票
- 本人確認書類
- 不動産売買契約書(専門家に頼む場合)
- 委任状(専門家に頼む場合)
⑤確定申告をする
売却に伴って利益が出る場合には確定申告をします。
-
譲渡所得額=不動産の売却額-(譲渡費用+不動産の取得費)> 0
このように、譲渡所得が不動産の取得費と譲渡費用を上回る場合、譲渡所得税と住民税がかかります。
税金については、税理士から説明を受けてください。
共有持分の売却額の相場についてのまとめ
共有持分の売却相場と税金等の知っておきたいポイントがわかると、売却のハードルが下がりますよね。
トラブルなく売却できるように、不安をひとつずつ潰していってください。
もし不安を感じている方は、ぜひ丸の内AMSにお気軽にご相談ください。
売却に関するお悩みやご質問に、丁寧にお答えいたします。