共有持分を担保に設定できる!4つのメリットと5つのデメリットを解説

投稿日:2025年1月16日

「共有持分を担保に設定して融資が受けられるって本当?」
「共有持分を担保設定するメリット、デメリットは?」

このように考えていませんか?

この記事では共有持分の担保設定について、プロが分かりやすくご案内します。

この記事の作成者

融資部 部長
浜崎 雷Rai Hamazaki

【資格】管理業務主任者、宅地建物取引士
お客様の大切な所有不動産の評価を最大限に、ゆとりある生活のサポートをさせていただきます。「お客様の明日のために、今日、自分は何ができるか」を考え、日々奮闘しています。

共有持分は担保設定できる!

民法369条では、「共有不動産には抵当権を設定できる」と定められています。

抵当権とは、金融機関が担保設定した不動産を競売に出して弁済を受けられる権利のことです。

自分の持分だけを抵当権に設定する場合、他の共有者の同意は必要ありません。

競売後は他の共有者に影響する

担保にして借りたお金の返済ができなくなり、競売で所有者が第三者になると、他の共有者に、次のような影響があります。

  • 共有者間の意思決定が困難になる
  • 他の共有者の利用が制限される(第三者が不動産の利用を主張してきた場合)

知っておくべき3つの権利

共有持分を担保に設定するにあたって知っておくべき権利は3つあります。

  • 知っておくべき3つの権利
権利 概要
抵当権 担保とした不動産を競売に出して返済額を回収できる権利
他の共有者の持分に影響は与えない
地上権 建物の所有者が、他人の土地を使うための権利
土地の所有者から許可をもらう必要がある
法定地上権 抵当権の実行によって法律で自動的に認められる地上権
抵当権が実行されて土地と建物の所有者が異なっても、建物所有者には土地を使う権利がある
土地の所有者の許可は不要
法定地上権の事例

Aさんは共有持分の建物を担保にして融資を受けていましたが、返済ができず抵当権が実行されました。

建物は競売にかけられ、第三者のBさんの所有物になりました。

建物はAさんの土地の上に建てられていますが、法定地上権が認められて、Aさんの同意なくBさんはAさんの土地を使用できます。

対象は建物に出入りする通路や建物の修繕、清掃に必要な土地です。

庭に洗濯物を干したり、ガーデニングをしたりといったことができます。

地上権の事例

CさんとDさんは、1/2ずつの持分で建物を共有しています。

建物はCさんの土地の上にありますが、DさんはCさんの許可を得ているため地上権が有効です。

Dさんは地上権が有効の期間、Cさんの土地を利用できます。

参考)民法「第369条 抵当権の内容

共有持分を担保に設定する4つのメリット

それぞれ詳しくご案内します。

【メリット①】他の共有者の許可は不要

自分の共有持分については、独立した所有権を持っているからです。

自分の持分のみに抵当権を設定する場合、法的には他の共有者の権利に影響を与えません。

他の共有者の同意は必要なく、担保に設定できます。

【メリット②】他の共有者に知られない

抵当権を設定する際、他の共有者にその事実を知らせる義務は無いからです。

他の共有者に知らせずに、自分の持分だけで融資を受けられます。

融資をする金融機関は、プライバシーに徹底的に配慮します。

【メリット③】抵当権は複数の不動産に設定できる

抵当権は、法律上、所有する複数の不動産に設定することができます。

例えば、一つの共有不動産では融資額が少なくても、複数の不動産を担保にすれば希望の融資額に届く可能性があります。

複数の共有持分の不動産に抵当権を設定する事例

Eさんは不動産を3つ持っています。いずれも共有持分です。

不動産担保ローンを利用する際、1つの不動産では800万円だけしか借入できないことがわかりました。それでは資金が足りません。

そこで、他の不動産を担保にしたところ、希望通りの2,500万円の融資を受けることができました。

参考)民法「第392条 共同抵当における代価の配当

【メリット④】物上保証人が必要ない

物上保証人とは、保証人が持っている財産を使って他人の債務を担保する役割のある人のことです。

自分の共有持分だけを担保設定する場合、物上保証人は必要ありません。

ただし、共有持分の不動産全体を担保にする場合は必要です。

より詳しくは「保証人不要の不動産担保ローンは多い!」でご案内していますので、ご一読ください。

参考)民法「第206条 所有権の内容

共有持分を担保に設定する5つのデメリット

それぞれ詳しくご案内します。

【デメリット①】持分の一部だけでは借入できない

一部ではなく、自分の持分全体を担保にする必要があります。

持分の一部だけを担保にできない例

Fさんは、評価額6,000万円の不動産の半分(1/2)を所有しています。

1/2のうちの1/3(評価額1,000万円)だけを担保にして融資を受けようとしました。

ですが、金融機関から「所有する持分全体を担保にする必要がある」と言われたため、そのようにしました。

参考)民法「第369条 抵当権の内容

【デメリット②】返済できない場合は競売にかけられる

ご案内した通り、返済が滞ると、金融機関は抵当権を実行し、持分は競売にかけられます。

第三者が落札(購入)すると、他の共有者に次のような影響が出ます。

  • 共有者間の意思決定が困難になる
  • 他の共有者の利用が制限される(第三者が不動産の利用を主張してきた場合)

また、競売物件は裁判所や競売物件情報サイトで一般公開されます。

他の共有者に、あなたが不動産担保ローンを利用していたことを知られる可能性があります。

【デメリット③】完済後に抵当権抹消登記をする必要がある

借入した融資を完済した後、抵当権抹消登記の手続きを行う必要があります。

抵当権抹消登記とは?

債務を完済して不動産に設定されていた抵当権がなくなったことを法務局に申請する手続きのことです。

費用は次の通りです。

  • 抵当権抹消登記にかかる費用
項目 費用
登録免許税 1,000円
事前調査費 400円〜1,000円
事後謄本取得費 600円
司法書士費用 15,000円前後
合計金額 17,000円〜17,600円

【デメリット④】借入可能額が低い

共有持分は、一般的な不動産よりも評価が低いため、借入可能額が低いです。

例えば、共有持分の不動産(評価額2,000万円)を担保にする場合と評価額1,000万円の単独の不動産を担保にする場合とでは、借入できる金額が同程度になることがあります。

理由は次の通りです。

  • 他の共有者と利用などに関してトラブルになる可能性がある
  • そのため共有状態では売却が非常に難しい(流動性が低い)

【デメリット⑤】融資を受けられる金融機関が少ない

共有不動産の持分で融資を受けられる金融機関は少ないです。

理由は、共有持分だけだと担保としての価値が低いからです。

銀行では断れらることが多いです。

共有持分を担保に設定して融資を受ける流れや必要書類、費用

融資を受ける流れ
  1. 金融機関と契約
  2. 抵当権設定契約
  3. 抵当権設定登記の申請
  4. 登記事項証明書の取得
  5. 融資開始

金融機関との契約では金銭消費賃借契約を結びます。

金銭消費賃借契約とは?

あなたが金融機関から融資を受けて、その元金と利息を返済することを約束する契約のことです。

金融機関との契約に必要な書類は次の通りです。

必要書類
  1. 身分証明証
  2. 印鑑証明証
  3. 収入証明証
  4. 納税証明証
  5. 不動産に関する書類
  6. 収入印紙
  7. 住民票
  8. 戸籍謄本

より詳しくは「共有名義の不動産を担保にできる?持分だけで借入れする方法を解説!」でご案内していますので、ご一読ください。

金融機関によって異なりますので、申込時に確認してください。

不動産担保ローンを利用するのにかかる費用は次の通りです。

  • 5つの費用
項目 費用
①登録免許税 不動産評価額の0.4%
②登記事項証明書発行手数料 480円〜500円
③印紙代 200円〜1,000円
④印鑑証明書発行手数料 300円〜450円
⑤司法書士報酬(依頼する場合) 5万円〜10万円

登録免許税は不動産の評価額の0.4%を収めます。

例えば、不動産評価額が1000万円の場合は、4万円です。

共有持分を担保に設定して融資を受けられる3つの金融機関

それぞれご案内します。

①丸の内AMS

丸の内AMSは、共有持分に強いノンバンクです。

これまでに20億以上の融資実績があります。

他の共有者からの同意は不要です。連絡せずに審査を受けられます。

  • 丸の内AMSのポイント
融資額 300万〜5億円
金利 3.8%〜(実質年率15.0%以下)
最大返済期間 35年
最短融資日数 2日
共有者の同意・連絡 不要

②大手町フィナンシャル

大手町フィナンシャルの営業エリアは全国対応です。

相続登記をしていなくても対応をしています。

  • 大手町フィナンシャルのポイント
融資額 100万〜20億円
金利 3.2%〜8.9%(実質年率15.0%以下)
最大返済期間 30年
最短融資日数 翌日
共有者の同意・連絡 不要

③アビック

アビックは、創業50年以上の実績があるノンバンクです。

他の共有者が同意が必要かどうか、Webサイトには明記されていませんので、ご確認ください。

  • アビックのポイント
融資額 300〜50億円
金利 2.9%〜(実質年率15.0%以下)
最大返済期間 30年
最短融資日数 2日
共有者の同意・連絡 必要

共有持分の担保設定についてのまとめ

共有持分は、あなたの持分だけを担保に設定して不動産担保ローンを利用できます。

ただし、債務不履行となって競売にかければ、落札されると他の共有者に影響が出ます。

丸の内AMSへお気軽にお電話くださいませ

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