共有持分の放棄とは?早い者勝ちって?メリットとデメリットを解説!

投稿日:2024年11月8日

「共有持分を放棄したいけど、手続きが大変そう」
「共有持分放棄したらどれくらいのお金がかかるんだろう」

このように考えていませんか?

このページでは、共有持分放棄の方法についてご案内します。

この記事の作成者

融資部 部長
浜崎 雷Rai Hamazaki

【資格】管理業務主任者、宅地建物取引士
お客様の大切な所有不動産の評価を最大限に、ゆとりある生活のサポートをさせていただきます。「お客様の明日のために、今日、自分は何ができるか」を考え、日々奮闘しています。

共有持分の放棄とは?

共有持分の放棄とは、共有で所有している土地や建物の持分を放棄することです。

共有持分を放棄すると土地や建物の共有関係が終了します。

共有不動産放棄の事例

母親1/2と2人の兄弟で1/4ずつ共有する不動産があったと仮定します。

兄弟のうち一人が1/4の持分を放棄した場合、残りの共有者の母親と兄弟一人に放棄した持分の所有権が移り、母親5/8と兄弟一人3/8となります。

共有持分放棄は「早い者勝ち」?


共有持分の放棄は、早い者勝ちで行うことができます。

他の共有者の承諾を得ずに行えます。

ただし、共有持分放棄には次のような注意点があります。

共有持分放棄の注意点
  1. 持分放棄だけでは土地や建物の名義は変更されない
  2. 名義を変更するには登記申請をする必要がある
  3. 登記名義の変更は、共有者全員の同意が必要になる
  4. 共有者が同意しない場合は、登記取引請求訴訟をする

持分放棄後の名義変更は登記申請で、持ち主を変更します。

共有者が協力的でない場合、登記取引訴訟をすると手続きを行える可能性があります。

この訴訟で判決が出るまでに、半年〜1年かかります。

共有持分放棄の3つのメリット

それぞれ詳しくご案内します。

【メリット①】管理負担を軽減できる

共有不動産は、全員が管理責任を負いますが、放棄すれば解放されるからです。

管理負担の事例

AさんとBさん2人で共有アパートの持分が1/2ずつあったと仮定します。

Aさんがアパートの外壁を300万円で修繕したいと思っても、Bさんの同意がないと改修ができません。

Bさんが共有持分を放棄し、Aさんの単独所有となると、Aさんの判断で不動産の改修が行えます。

【メリット②】費用負担を削減できる

固定資産税の支払いや管理費用が発生しなくなるからです。

費用負担の事例

AさんとBさん2人で共有の不動産の1/2ずつ持分があったと仮定します。

固定資産税30万円の支払いは1/2ずつ、AさんとBさんが15万円ずつ納めていました。

不動産の修繕費用100万円も、AさんとBさんで50万円ずつ負担していました。

Bさんが共有持分を放棄し、Aさんの単独所有となるとBさんは費用負担がなくなります。

ですが、Aさんが130万円負担することになります。

【メリット③】遺産分割問題を解消できる

遺産分割問題とは複数の相続人が同じ不動産を共有していて、利用方法や管理の仕方で意見が対立することです。

持分放棄することで、トラブルを回避できます。

共有持分放棄の3つのデメリット

それぞれ詳しくご案内します。

【デメリット①】資産が減る

放棄した不動産の所有権が無くなり、結果として資産が減るからです。

資産が減る事例

不動産価格が一億円の建物を共有持分1/3ずつ、AさんBさんCさんで所有していました。

Aさんが持分放棄をし、BさんとCさんに持分が割り振られました。

Aさんは、3,333万円の資産を失いました。

【デメリット②】税金の支払いが発生する

次のような税金の支払いが、他の共有者に発生するからです。

  • 贈与税
  • 固定資産税
  • 不動産取得税

これが原因で関係修復不能になり、持分の放棄ができなくなることがあります。

【デメリット③】コミュニケーションコストがかかる

共有持分を放棄する際には、他の共有者との合意形成が必要だからです。

共有持分を持つ名義人同士の話し合いや調整が必要であり、関係性によってはその過程でコミュニケーションに時間と労力がかかります。

意見が対立したり、調整が難航したりすることがあります。

共有持分放棄の手続き「2つの方法」

それぞれ詳しくご案内します。

【方法①】共有者に放棄する旨を伝える

登記する際に他の共有者の同意が必要だからです。

口頭で他の共有者に共有持分を放棄したいことを伝えます。

それから、内容証明郵便にて正式に通知を行います。

内容証明郵便はトラブル防止のために送付します。

弁護士や司法書士に作成してもらってください。

内容証明書の依頼で発生する費用は1万円〜5万円です。

【方法②】共有持分移転登記をする

共有持分移転登記とは、持分放棄をした不動産の所有権を他の人へ移すことです。

共有持分の放棄するには、他の共有者と共有持分移転登記をする必要があります。

  • 放棄する人が準備する物
準備物 取得先 費用
登記申請書 法務局ウェブサイトまたは法務局の窓口
登記原因証明情報 自分で作成または司法書士に依頼 約5,000円
登記識別情報 すでに所有している
固定資産税評価証明書 市区町村窓口 200円〜400円
印鑑証明 市区町村窓口 200円〜400円
実印 すでに所有している
本人確認書類 すでに所有している
委任状(代理人が申請する場合のみ) 自分で作成 

登記申請書は法務局ウェブサイトか窓口で取得することができます。

記載は自分で行えます。

司法書士に依頼する場合には、4万円〜7万円の費用がかかります。

登記原因証明情報は自分で作成することができます。

決まった書式はありませんが以下の必要内容を明記します。

登記原因証明情報に記載する内容
  1. 登記の目的
  2. 登記の原因
  3. 当事者の氏名
  4. 不動産の住所
  5. 共有持分放棄を証明する情報
  6. 日付
  7. 提出先法務局名
  8. 当事者双方の意思
  9. 当事者双方の署名と押印

司法書士に依頼する場合は、約5,000円の費用がかかります。

登記識別情報は、不動産を所有した際に渡されている書類です。


浜崎
登記識別情報を紛失されている場合は、司法書士に本人確認業務を依頼することになります。その場合は費用が数万円余分にかかりますのでご注意ください。
他の共有者が準備する物
  1. 住民票
  2. 本人確認書類
  3. 認印

共有持分放棄に伴う費用項目

  • 必要な費用項目
費用項目 目的
登録免許税 不動産登記時に収める税金
司法書士報酬 登記手続き依頼時の報酬
内容証明書作成費 持分放棄を他の共有者に伝えるため
訴訟費用 持分放棄に他の共有者の同意が得られない場合
不動産取得税 贈与を受けた他の共有者が支払う

登録免許税は、登記手続きの際に支払います。

詳しくは 【税金③】登録免許税 の項目でご案内しています。

登記手続きを司法書士へ依頼した場合には、司法書士への報酬としての費用が発生します。

この費用は司法書士によって、または依頼する内容によって変化します。

詳しい金額は司法書士へ見積もりを依頼してください。

不動産取得税については、【税金②】不動産取得税 の項目でご案内しています。

共有持分放棄に関連する4つの税金

不動産の権利を受け取った人が支払う税金です。

それぞれご案内していきます。

【税金①】贈与税

無償で不動産を取得した場合に課税されます。

国に納税します。

贈与税の税率は、一年間に贈与で受けた価値に応じて変化します。

贈与税の税率には2種類あり、「特別贈与財産」と「一般贈与財産」に分けられます。

「特別贈与財産」とは、18歳以上の人が両親や祖父母から贈与を受けた財産です。

  • 特別贈与財産の税率
課税価格(贈与額ー110万円) 税率 控除額
200万円以下 10% なし
200万円〜400万円以下 15% 10万円
400万円〜600万円以下 20% 30万円
600万円〜1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円〜1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円〜3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円〜4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円以上 55% 640万円

「一般贈与財産」は、特別贈与財産以外の贈与された財産です。

  • 一般贈与財産の税率
課税価格(贈与額ー110万円) 税率 控除額
200万円以下 10% なし
200万円〜300万円以下 15% 10万円
300万円〜400万円以下 20% 25万円
400万円〜600万円以下 30% 65万円
600万円〜1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円〜1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円〜3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円以上 55% 400万円

参考)国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」

【税金②】不動産取得税

土地や建物を所有したときに一度だけ支払います。

固定資産税評価額に応じて、4%の税率で納税します。

都道府県に納税します。

【税金③】登録免許税

土地や建物を登記する際に法務局へ納める税金です。

  • 登録免許税の税率
登記の内容 税率
相続 0.4%
贈与 2%
売却 2%

国に納税します。

参考)国税庁「登録免許税の税額表」

【税金④】固定資産税

土地や建物を所有している人が納める税金です。

市町村に納税します。

1月1日に所有している人が固定資産税を納めます。

共有持分を放棄した場合、永続的に支払う義務があります。

固定資産税評価額から1.4%の税率で納めます。

自治体によって税率が異なる場合があります。

納税対象の市町村へ確認してください。

共有持分放棄に関連するQ&A

Q.共有持分放棄の対象が農地の場合はどうなりますか?

A.共有持分が農地の場合でも、持分放棄ができます。

ただし、農地の場合には農地法で定める許可が必要になる場合があります。

農地法の許可が必要なケースは、持分を放棄した部分の不動産を他の共有者が取得しない場合です。

共有持分を他の人へ譲渡や売却する場合には農地法で定められている、農業委員会の許可が必要です。

Q.他の共有者に協力してもらえない場合はどうなりますか?

A.登記取引請求訴訟を行えます。

登記取引請求訴訟とは、共有持分放棄をした人が登記申請を実行する権利がある旨を訴訟することです。

必要な書類は次の通りです。

登記取引訴訟の必要書類
  1. 訴状
  2. 登記事項証明書
  3. 固定資産税評価証明書
  4. 持分放棄を知らせた内容証明書の写しを2部

内容証明書の写しは裁判所へ提出する用と被告用の2部必要です。

詳しくは相談先に確認してください。

共有持分の放棄についてまとめ

共有持分放棄について、手続き方法や発生する費用について解説しました。

共有持分放棄がスムーズにできるように、しっかりと手順を理解してくださいね。

共有不動産に関するお悩みがある場合は、ぜひ丸の内AMSにお気軽にお問い合わせください。

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