「親や家族の不動産は勝手に担保できないかな?」
他人名義の不動産を担保に不動産担保ローンを利用する場合、名義人の同意が必要です。
親や家族でも同様です。
勝手に担保にできるのはあなた名義(自分名義)の不動産だけです。
この記事では、次の4点をプロが分かりやすくご案内していきます。
- 勝手に担保にできる不動産の種類
- 勝手に担保にできない不動産の種類
- 他人名義の不動産を担保にできない理由
- 他人名義の不動産を担保にする際の注意点
目次
勝手に担保できるのは4つの不動産!
- あなたが100%の所有権を持つ不動産
- あなたの共有持分の不動産
- 相続であなたの名義に変更した不動産
- 「あなたが決定権を持つ法人」が所有する不動産
不動産のなかには、家族や親など他人の同意を得ることなく自由に担保にできる不動産があります。
不動産担保ローンの契約上はもちろん、法律的にも問題ありません。
以下では、あなたが勝手に担保できる4種類の不動産を紹介します。
種類①:あなたが100%の所有権を持つ不動産
あなたが100%の所有権を持つ不動産とは、あなたが単独で所有している単独名義の不動産のことです。
親や兄弟・姉妹などの他人と共有していない、次のような土地や建物です。
- あなたが単独で購入した一戸建てやマンション
- 投資目的で購入したあなた名義のマンションやアパートの一室
- 投資目的で購入したマンションやアパート一棟
- あなたが単独で購入した別荘やセカンドハウス
このような不動産なら、親や家族に内緒で、あなたの判断で担保にすることができます。
あなたにだけ、民法206条で定められた所有権があるためです。
民法206条の「所有権の内容」にあるように、所有権を持つ不動産に対しては「所有者が自由に所有物を使用、収益、処分ができる」ことが認められています。
不動産の所有権は、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得すれば確認できます。
種類②:あなたの共有持分の不動産
親や兄弟・姉妹などと共有している共有名義の不動産のうちの、あなたに割り当てられた共有持分の不動産です。
一つの不動産を複数人が所有している状態のことです。実際には不動産を複数に分割することは出来ないので、「持分」という割合で所有しています。
「あなたの共有持分の不動産」=「あなたに所有権がある不動産の持分」です。
共有持分で融資を受ける場合は、他の共有者(名義人)の許可を得る必要はありません。
不動産を共有で所有するのは、次のようなケースです。
- 親や・兄弟姉妹の共有名義で実家(建物・土地)を相続した
- 親子・夫婦の共有名義で不動産(住宅、マンション)購入した
- 共同出資で投資用の物件(マンション、アパート、住宅)を購入した
このうち、ここ数年で増え続けているのは、遺産相続による共有です。
あなたの共有持分の割合は、法務局で取得できる登記簿謄本(登記事項証明書)で確認できます。
不動産担保ローンを共有名義でも融資を受けられる金融機関は限られています。
共有名義・共有持分の融資なら、精通したスタッフが在籍する当社へご相談ください。
種類③:相続であなたの名義に変更した不動産
相続があり、親などの家族や他人の名義の不動産を、100%あなたの名義に変更した不動産です。
この場合は、家族や親に内緒で不動産担保ローンを利用できます。
名義変更で所有者があなただけになれば、担保設定ができるようになります。
種類④:「あなたが決定権を持つ法人」が所有する不動産
法人の不動産の場合、法人の内部規定や定款にもとづく承認が必要です。
ただし、次の場合はあなたが任意に担保にすることができます。
- あなたが法人の代表者、または役員
- あなたが法人の不動産の管理や運用に関する決定権を持っている
このように、あなたが法人の不動産の管理や運用に関する決定権を持っている場合は、任意に担保設定できます。
そうでない場合は、取締役会や株主総会での決議が必要です。
当然、勝手に担保にすることはできません。
家族に内緒で勝手に担保にできないのは4種類の他人名義の不動産
- あなた以外の家族が100%所有する不動産
- 共有名義の不動産のあなた以外の共有持分
- 死亡した親名義のままの不動産
- あなたの親族・姻族が所有する法人不動産
家族に内緒で不動産担保ローンを利用しようと思っても、「他人名義の不動産」は勝手に担保にできません。
他人名義の不動産とは、あなたが所有権を持たない不動産です。
この不動産を担保にするには、次のような注意点があります。
- 不動産所有者が同意する
- 名義人が連帯保証人になる(金融機関による)
4つの他人名義の不動産について紹介します。
種類①:あなた以外の家族が100%所有する不動産
あなた以外の家族が100%所有する不動産は、その名義人の家族に所有権が100%あります。
そのため、あなたが勝手に担保にすることは法的に認められません。
所有権があなたに無い不動産を担保にするには、その不動産の所有者である家族の同意が不可欠です。
なお、家族の範囲がどこまで認められるかは、金融機関によって異なります。
ローン申込者の配偶者や二親等・三親等の親族や姻族の名義の不動産を認めている場合が多いです。
それぞれの範囲は次の通りです。
- 二親等:祖父母、父母、子、孫
- 三親等:曽祖父母、祖父母、父母、子、孫、ひ孫、兄弟姉妹、甥・姪、おじ、おば
- 姻族(いんぞく):夫の両親や兄弟・姉妹、妻の両親や兄弟・姉妹
この場合の注意点は次の通りです。
- 名義人の同意が必要
- 連帯保証が必要な場合がある
- 親や家族の居住用の場合、特定の制約がかかることがある
- 未成年者の不動産を担保にする場合は法定代理人の許可が求められることがある
不動産の所有者が担保設定された不動産に住む場合は、特別な条項が契約に含まれることがあります。
種類②:共有名義の不動産のあなた以外の共有持分
相続で取得したり、夫婦で購入したりして共有している不動産のうち、あなた以外の人の共有持分については、あなたが勝手に担保にすることはできません。
所有権があなたに無いからです。
家族や親に内緒で、共有不動産を単体の不動産として担保に設定することもできません。
事前に共有名義人の同意を得る必要があります。
この場合の注意点は次の通りです。
- 共有名義人の同意が必要
- 共有者の連帯保証が必要な場合がある
- 共有名義の不動産に対応している金融機関に依頼する
- 単独の不動産とする場合は全員の同意が必要になる
共有名義の不動産を担保に融資をする金融機関は少ないです。
対応しているところを探す必要があります。
種類③:死亡した親名義のままの不動産
死亡した親名義のままの不動産は、あなた以外の遺族に内緒で担保できない場合もあります。
相続が発生したからといって、登記をしなければ、あなたが所有している不動産にはならないからです。
あなた以外に相続人がいない場合でも同じです。
相続登記が完了し、あなたの名義になっていれば、勝手に不動産を担保にすることができます。
種類④:あなたの親族・姻族が所有する法人不動産
あなたの親族・姻族が所有する法人の不動産も、同意を得ることなく勝手に担保にすることはできません。
他人名義の法人不動産を担保にするには、法人不動産の代表者や決定権を持つ者の同意が必要となります。
他人名義の不動産を担保にするには、前提としてその名義人の同意が必要です。
法人向けの不動産担保ローンに対応しているのは、銀行や信用金庫、ノンバンクです。
それぞれ一長一短ありますので、審査を依頼して比較してみてください。
この場合の注意点は次の通りです。
- 法人の代表者が連帯保証をする必要がある(金融機関による)
- 金融機関からの審査が厳しい
- 手続きが複雑化する
- 担保の評価額が低めに設定される傾向がある
法人が返済不能になった場合は、代表者が個人的に返済することになります。
法人の登記事項証明書、法人の決算書、代表者の身分証明書、不動産の登記簿謄本、評価額を示す書類が必要となり、手間と時間がかかります。
担保が低めに設定され、希望する融資額に届かない場合は、追加の担保が必要です。
家族名義や死亡した親名義の不動産を勝手に担保できない6つの理由
- 理由①:名義人の担保提供が求められる
- 理由②:名義人が連帯保証人になる前提の契約もある
- 理由③:抵当権の設定がいる
- 理由④:判断能力の審査が行われる(高齢の親の場合)
- 理由⑤:死亡した親名義の不動産は相続登記がいる
- 理由⑥:現地調査で所有者の承諾がいる
他人名義の不動産を勝手に担保にできない理由は6つあります。
理由①:名義人の担保提供が求められる
あなた以外の家族名義で不動産担保ローンを利用する際、名義人の権利を保護するために、金融機関は名義人の担保提供を求めます。
自分以外の人が融資を受ける際に自分名義の不動産を担保として提供することです。
「物上保証人」とも呼ばます。
担保提供は、家族とはいえ、口約束や委任状での同意だけでは不十分です。
次のことが必要です。
- 担保提供をするリスクの説明への理解と同意
- 名義人の署名や捺印
リスクの説明は、本申込前の面談で、金融機関の担当者や司法書士によって説明が行われます。
その後、金銭消費貸借契約書や同意書に対して、名義人自らが署名や直筆をする必要があります。
このような手続きが必要ですので、他人名義の不動産を内緒で勝手に担保にして融資を受けることは不可能です。
理由②:名義人が連帯保証人になる前提の契約もある
他人名義の不動産を担保に借入する場合、金融機関によっては、貸し倒れのリスクを回避のために、名義人による連帯保証人が求められることがあります。
借主が返済できない場合に、借金の返済義務を負う人です。
例えば、借主が1,000万円のローンを返済できない場合、連帯保証人が全額返済する責任を持ちます。
これで借り手が返済不能に陥った場合でも、金融機関は名義人から返済を求めることができます。
親や家族に不動産担保ローンの連帯保証人になってもらう場合は、次の書類が必要です。
- 源泉徴収票などの収入を証明できる書類
- 本人の身分を確認する書類
家族や親名義の不動産を担保にする場合は、連帯保証人になるリスクを理解してもらう必要があります。
理由③:抵当権の設定がいる
金融機関が担保として押さえられる権利のことです。
借り手が返済不能になった場合、金融機関はその担保物件を売却し、ローンに充当します。
抵当権の設定には、不動産を管轄する法務局で登記申請が必要です。
そのため、名義人の同意と協力が不可欠です。
理由④:判断能力の審査が行われる(高齢の親の場合)
不動産の名義人の親が高齢な場合、その判断能力の審査が行われます。
例えば、名義人が認知症の場合、後から「同意していない!」とトラブルいなってしまう可能性があるためです。
高齢者が契約内容を理解し、適切に判断できるかどうかを、医師の診断書が求められることがあります。
判断能力の審査に通らなければ、担保提供は認められません。
理由⑤:死亡した親名義の不動産は相続登記がいる
死亡した親から相続した親名義の不動産で融資を受けるには、相続登記をして、あなたの名義に変更する必要があります。
「相続をした」と思っていても、この手続きを完了していないと、勝手には担保にできません。
法定相続分なら、あなただけで相続登記をすることができます。
民法で定められた相続の割合のことです。
親と2人の子がいる場合、不動産を親に1/2、子に1/4ずつに分けられます。親がおらず2人の子の場合は1/2ずつです。
法定相続をしたあなたの持分(共有持分)については、勝手に担保にすることができます。
相続人が複数人いる場合に、あなたが全てを相続するような登記は、遺産分割協議を行い、相続人全員からの承諾を得る必要があります。
理由⑥:現地調査で所有者の承諾がいる
金融機関は、不動産の現地調査を行う際に、所有者の承諾を求めることがあります。
現地調査とは、例えば、戸建やマンションの内観をして中の状態をチェックすることです。
他人名義の場合、現地調査の連絡が親や家族に届くため、内緒で担保にすることは難しいです。
他人名義の不動産で利用可能な不動産担保ローン4選
他人名義の不動産の融資に対応している金融機関をご案内します。
丸の内AMS
丸の内AMSの不動産担保ローンは、年率3.8%から15.0%の金利が設定されており、最短2日で融資が可能です。
対応する不動産は、住宅、商業ビル、土地など多岐にわたります。
AGビジネスサポート
AGビジネスサポートの不動産担保ローンは、金利が年率2.49%~14.8%、融資スピードは最短3日、対応不動産は土地、建物、マンションです。
セゾンファンデックス
セゾンファンデックスの不動産担保ローンは、年率2.75%から9.9%と金利幅が広く、最短3日でのスピーディな融資が可能です。対応不動産は一戸建て、マンション、土地など多岐にわたります。
アサックス
アサックスの不動産担保ローンは、金利が年率1.95%から6.9%と設定されており、融資のスピードも迅速で最短3営業日での対応が可能です。
対応する不動産の種類も多岐にわたり、住宅、土地、マンション、商業施設などが含まれています。
親や家族の不動産は勝手に担保できる?に関するまとめ
家族名義や共有名義、死亡した親名義の不動産に関しては慎重な手続きが求められます。
この記事で解説した内容を参考に、不動産担保ローンを利用する際は適切な準備を行いましょう。
不動産担保ローンに関する疑問やご相談があれば、ぜひ丸の内AMSにお問い合わせください。
専門スタッフがあなたの状況に合ったアドバイスを提供いたします。