底地とは何?メリット・デメリットや借地との違いを分かりやすく解説

投稿日:2024年9月12日

「底地(そこち)を相続したけど、そもそも底地って何?」
「底地を分かりやすく説明してほしい」

このように考えていませんか?

この記事では、底地についてプロが分かりやすくご案内していきます。

この記事の作成者

融資部 部長
浜崎 雷Rai Hamazaki

【資格】管理業務主任者、宅地建物取引士
お客様の大切な所有不動産の評価を最大限に、ゆとりある生活のサポートをさせていただきます。「お客様の明日のために、今日、自分は何ができるか」を考え、日々奮闘しています。

底地と借地について解説

底地と借地は似た状況で使用することが多いため、それぞれの違いを把握することで理解が深まります。

底地とは
  1. 借地権が設定されている土地
  2. 他人に貸して利益を得ている土地

底地の持ち主は、地主さんです。

底地を持つ権利のことを、底地権と言います。

借地とは
  1. 他人から借りている土地
  2. 建物を所有するために借りている土地

借地の持ち主は、土地を借りている借地人です。

他人から借りた土地に、建物を建てる権利を借地権と言います。

イラストから分かるように、底地と借地は同じ土地です。

ですが、土地に対して持っている権利が異なると呼び方が変わります。

底地と借地の違いをまとめると次の通りです。

●底地と借地の違い

種類 権利の呼び方 権利の持ち主 賃借の立場
底地 底地権 地主 貸主
借地 借地権 建物所有者 借主

底地に設定される借地権は3種類

底地には、必ず借地権が設定されています。

設定されている借地権は、3種類のうちのいずれかです。

1つずつ詳しくご案内していきます。

【種類①】旧借地権

旧借地権は「一度土地を貸したら二度と返ってこない」と言われるほど、地主に不利な法律でした。

具体的な特徴は次の通りです。

●旧借地権

施行 契約期間 特徴
1992年8月1日以前 最低30年 ・更新すれば半永久的に借りられる
・地主側から更新拒否は難しい

借主側に強い権利が与えられています。

【種類②】普通借地権

現在の借地借家法に基づいて定められており「新法普通借地権」とも呼ばれます。

具体的な特徴は次の通りです。

●普通借地権

施行 契約期間 特徴
1992年8月1日以前 30年以上 ・最初の更新は20年以上、2回目以降は10年以上
・正当な理由があれば地主側が更新拒否できる
・更新しない場合、借地人から建物買取を請求される

旧借地権に比べて、地主側に多くの権利が与えられています。

正当な理由があれば更新を拒否することができます。

とはいえ、最終的には裁判所の判断になるケースが多いです。

もし裁判所が地主の正当な理由を認めない場合、借地権は更新されます。

【種類③】定期借地権

定期借地権とは、「期間を決めて土地を借りる権利」です。

種類は4つあります。

期間が定められている点は共通ですが、それぞれのポイントは次の通りです。

●定期借地権の4つの種類

種類 ポイント
一般定期借地権 ・契約更新がない
・契約満了時は更地にして返却する
建物譲渡特約付き借地権 ・最低30年以上の契約期間に設定する
・契約締結から30年経過後、地主が建物を買取する
事業用定期借地権 ・事業用の建物所有が目的のときに使用する
・契約満了時に更地にして返却する
一時使用目的の借地権 ・一時的な使用が明らかな場合に使用する
・借地人の保護規定は適用しない

契約期間や返還方法が明確に決められています。

そのため、地主は安心して貸し出しできます。

底地を所有する5つのメリット

5つのメリットについて、詳しくご案内していきますね。

【メリット①】安定的に地代を得られる

地主が安定した利益を得られる理由は3つあります。

  • 底地の契約期間は30〜50年
  • 収入が途絶えない
  • 契約締結時に取り決めた地代が適用される

【メリット②】管理・修繕の手間がかからない

建物の所有権が借地人にあるため、地主には次の負担がありません。

  • 除草や土地の整備
  • リフォームやメンテナンス費用
  • 管理にかかるやり取りの時間

【メリット③】相続税対策ができる

底地は更地よりも評価額が低いからです。

相続税評価額の計算方法は次の通りです。

相続税評価額の計算方法

更地価格×(100%-借地権割合)=底地の相続税評価額

例えば、更地価格が1億円、借地権割合が 60%の場合の相続税評価額は次の通りです。

●普通借地権

種類 計算式 相続税評価額
更地 1億円 1億円
底地 1億円 ×(100% – 60%) 4,000万円

さらに、一定の条件を満たせば「小規模住宅地等の特例」が適用され、最大で相続税評価額を50%減らすことができます。

【メリット④】撤退リスクが低い

契約期間は30〜50年と長期に渡るため、借地人は、長期的な運用を目的としています。

建築費用を回収するまでは撤退しないことが多いです。

【メリット⑤】土地の価格上昇で利益が増える

都市部や開発が進んでいる地域では、土地の価格が上昇します。

得られるメリットは3つあります。

  • 土地を売却するときの売却金額が上がる
  • 土地を賃貸するときの賃料が上がる
  • 土地を担保にした資金調達での借入金額が増える

底地を所有する8つのデメリット

8つのデメリットについて、詳しくご案内していきますね。

【デメリット①】収益性が低い

底地の契約は昭和時代から続いているケースが多く、地代が相場以下で設定されています。

そのため、他の不動産投資に比べると利回りが低いです。

収益性向上のために地代を値上げするには、次の流れで手続きを行います。

  1. 借地借家法に基づき、適正な地代を求める
  2. 借地人との協議する
  3. 協議がまとまらない場合、裁判所に調停や裁判を申請する
  4. 裁判所が最終的に適正な地代を判断する

【デメリット②】売却が難しい

売却が難しい理由は次の通りです。

●売却が難しい理由

理由 詳細
権利関係が複雑 ・手続きや契約内容が複雑になる
借地権の存在 ・自由に売却や開発ができない
法的な制約 ・地主側から自由に契約内容を変更できない

自由に活用できず、手間がかかるため、売却先が限定的です。

【デメリット③】借地権者とのトラブルになる可能性がある

底地は契約期間が長いため、取り決めが曖昧になりがちです。

その結果、借地権者と、次のようなことで、トラブルに発展することがあります。

  • 期日までに地代の支払われない
  • 数年にわたって滞納される
  • 勝手に増改築される
  • 借地契約解除を申し出ても明け渡してもらえない

【デメリット④】固定資産税や税金がかかる

土地の所有権がある限り、固定資産税や税金の支払い義務が発生します。

底地の所有者が負担する税金は次の通りです。

  • 土地にかかる固定資産税
  • 都市計画税
  • 所得税(儲けがある場合)
  • 住民税(儲けがある場合)

建物にかかる固定資産税は、借地人が負担します。

【デメリット⑤】土地を自由に利用できない

借地人が土地利用の権利を持っているため、簡単に立ち退かせることはできません。

借地契約には、借地人の利用に関する細かな規定が含まれており、地主は自由に土地活用ができません。

【デメリット⑥】売却金額が相続税を下回るリスクがある

期待したほど減税されず、相続税が高額になるケースがあります。

具体的には次のようなケースです。

●資金不足になる具体例

相続税額 売却価格 差引
1億円 8,000万円 ▲2,000万円

足りない資金は、他の資産や貯金を切り崩さなければなりません。

【デメリット⑦】融資を受けにくい

底地の売却価格は更地の1〜2割程度と担保価値が低いです。

そのため多くの金融機関は、底地の融資に消極的です。

【デメリット⑧】権利関係が複雑になることがある

地主と借地人がそれぞれ異なる権利を持っています。

相続が発生すると、権利関係がさらに複雑になり、現状把握ができなくなる可能性があります。

底地を活用する3つの方法

3つの底地活用法について、詳しくご案内していきますね。

【活用法①】底地を売却・買取依頼をする

評価額が低く、買取る業者は少ないですが、売却することはできます。

次の3つの方法があります。

底地の売却先
  1. 借地人へ売却提案
  2. 不動産会社への買取依頼
  3. 第3者への売却

最も高く買取るのは借地人です。

借地人側からすると、今まで支払っていた地代や更新料がなくなり、金銭的メリットが大きいです。

ですが、借地人に土地を購入したい意思がなければ売却は成立しません。

迅速に売却したい場合は、不動産会社へ買取依頼をご検討ください。

【活用法②】底地を担保に不動産ローンを利用する

底地を担保に融資をしてもらう方法です。

不動産担保ローンに対応しているノンバンクがあります。

通常の土地と比べて査定額は低いですが、銀行に比べると融資条件が緩いので、検討してみてください。

【活用法③】底地と借地権を等価交換する

等価交換とは「土地」と「建物の一部」を交換することです。

分譲マンションやオフィスビルを建築する場合に実施されます。

等価交換のメリット
  1. 土地の使い勝手が良い
  2. 所有資産の価値が上がる

等価交換をして完全所有権を持てば、自由に土地を活用できるため、資産価値は高いです。

まとめ:底地とは「借地権が設定されている土地」

底地は、借地人が使う権利を持っている土地のため、所有権を持っている人が自由に使うことはできません。

そのため、収益性が低く売却が難しいです。

有効な活用法は、売却・買取依頼や不動産ローンの利用、等価交換の3つありますので、ご検討ください。

丸の内AMSでは、底地を担保にした、不動産担保ローンに対応しております。

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