「共有物分割協議の内容証明が届いたんだけど、どうしたらいいの?」
「共有物分割請求について詳しく知りたい」
とお考えではありませんか?
共有物分割協議の内容証明が来たということは、内容証明を送った相手は、「共有物分割請求訴訟を起こそう」と考えているはずです。
このページでは、共有物分割請求について、弁護士の監修のもと、共有不動産のプロが解説していきます。
「共有物分割請求に対して、どのように対応したら良いのか」
「所有している共有不動産の持分を、どうするのがベストなのか」
その判断の材料にしていただければと思います。
目次
共有物分割請求とは?
共有物分割請求とは、不動産所有者のうちの一人が、残りの不動産所有者に対して、「不動産を自分一人の名義にさせて欲しい」と申し出る行為のひとつです。
法的に強制力があるため、他の共有者は共有状態の解消のために動かないといけなくなります。
1人の共有者が請求をすれば、他の共有者は共有状態を解消するための手続きをしなければいけません。
では、共有物分割請求をする方の目的は何でしょうか?
共有物分割請求の目的は?
目的は共有不動産を単独名義にして、その不動産から最大限のメリットを引き出すということです。
自分一人の名義になれば、その不動産をどうしようが他の人からとやかく言われなくても済みます。
家を建てて住宅ローンも組めますし、売却しても良いのです。
不動産担保ローンを借りられる金融機関も、持分の時よりは増えます。 共有状態では出来にくいことが、単独名義ではしやすくなるのです。
>>そもそも「不動産の共同名義・共有名義(共有持分)とは?」という方はこちら
共有物分割請求の判決結果のパターン
- 全面的価格賠償(代償分割)
- 一部価格賠償(代償分割)
- 現物分割
- 一部分割(現物分割)
- 換価分割
- 和解
共有物分割請求のパターンは上記の6種類がありますが、このページでは、全面的価格賠償(代償分割)を軸に進めていきます。
その全面的価格賠償とは、単独名義にしようとしている名義人が、あなたの持分に応じた金額をあなたにお支払いして、あなたの持分を手に入れるということです。
簡単に言えば、あなたの持分を購入するというイメージです。
A、B、Cで持分3分の1ずつ不動産を所有。 不動産の評価額9,000万円とし、各所有者の3,000万円ずつの評価と仮定。 AがBとCに各3,000万円を支払って、Aの単独名義となる。
上記の例で、Bを「あなた」の立場と設定すると、あなたは、共有物分割請求で3,000万円を受け取ることができる訳です。
共有物分割請求の2つのメリット
- 法律に則って進めてくれる
- 適正な価格なので、価格に納得感がある
共有物分割請求のメリットは2つです。
共有者同士の協議が整わなかったときは、裁判所が法律に則って、分割方法を指定してくれます。
価格賠償による評価は、誰かが得するような「言い値」ではなく、不動産鑑定士等による適正な時価によるため、不公平感がありません。
共有物分割請求の3つのデメリット
- 時間がかかる
- 希望価格での分割にならないこともある
- 競売判決が出ることもある
共有物分割請求のデメリットは3つです。 案件の内容にもよりますが、半年から1年、もしくはそれ以上かかる場合もあります。
また、共有分割の協議では、上記のように適正な価格で処理されます。
そのため、期待しているような価格にはならない可能性があります。
それから、共有分割での協議がまとまらないとき、物理的に分割が難しいとき、競売判決が出ることがあります。
競売となれば、価格は比較的抑えられてしまう傾向にあります。
実際に共有物分割請求をするには?流れ・手順や期間を解説!
- 共有者同士で交渉・協議
- 弁護士に相談
- 訴訟申し立て
- 呼出状が届く
- 裁判開始
- 判決が下される
共有分割請求にはこの6つの流れがあります。
あなたの手元に内容証明が届いたかと思いますが、これは、共有部分割協議という「当事者同士での話し合いをしたという証拠作り」のためのもので、実際には会って話をするケースは少ないです。
提訴の手続きから1ヶ月後に、あなたの元に口頭弁論への呼出状が届きます。
裁判は、あなたの住所、または物件がある所在地の簡易裁判所で行われます。
もし弁護士に相談するなら、共有名義や共有物分割請求に知見のある弁護士を選ぶようにしてください。
弁護士に相談している場合は、口頭弁論に弁護士が出席するので、基本的にあなたが裁判所に行く必要はありません。
裁判は1~2年ほどかかります。
判決結果に納得がいかない場合は、競売になってしまいます。
共有物分割請求では、どんな費用がかかる?
- 交渉費用
- 弁護士費用
- 訴訟費用
- 登記費用
- 不動産鑑定費用
共有物分割請求でかかる費用はこの5つですが、基本的には訴訟を起こす側が負担します。
例えば、交渉費用とは、あなたの元に届いた共有物分割請求協議の内容証明の郵送費のことです。
ですが、あなたがもし弁護士に相談した場合はその分の費用がかかります。 弁護士費用は、依頼主が得られる経済的利益の額に比例します。
実際に共有物分割請求の内容証明が届いた場合の3つの選択肢
- 相手方と話し合う
- 話し合いが難しい、もしくは話したくない場合は、持分の売却か持分の融資を検討
- 何もしない
内容証明が届いたら、この3つの選択肢があります。 それぞれご案内していきます。
【選択肢①】相手方と話し合う
今まで見てきたように、共有物分割請求に関する内容証明を送って来た相手は、あなたと共有名義になっている不動産の共有状態を解消しようとしています。
共有の解消に当たって、あなたにメリットがあることなのかどうか、まずは相手方と話してみてください。
【選択肢②】話し合いが難しい、もしくは話したくない
何らかの事情があって、相手方と話せないもしくは話したくない場合で、持分を早く現金化したい場合は、あなたご自身の持分を売却するか、持分融資を受けることも可能です。
共有物分割請求は、前述のように時間がかかります。 なるべく早く持分を使ってお手元に現金を置いておきたい方は、まずは持分融資をご検討ください。
【選択肢③】何もしない
もちろん、何もしないという選択もあります。
お金に困っておらず、相手方に協力するつもりもなく、法的に粛々と、ご自身の持分を処理されていくのが良いという方もいらっしゃいます。
共有物分割請求とは?に関するまとめ
共有物分割請求について、基本的な概念からその目的、判決結果のパターンまで詳しく解説しました。
共有物分割請求にはメリットとデメリットがあり、実際に手続きを行う際の流れや費用も重要です。
さらに詳しい情報やサポートが必要な方は、ぜひ丸の内AMSまでお気軽にお問い合わせください。