親の介護で退職したら生活費はどうする?退職せず介護する7つの方法

投稿日:2024年8月26日

「親の介護で退職したら、生活費はどうすればいいんだろう?」
「生活費以外に、親の介護でいくら必要なのかな…」

親が急に倒れて介護が必要になったら、慌てますよね。

仕事を続けながら介護をするのは大変。

ですが、離職するとお金が足りるか心配です。

このページでは、親の介護に必要な生活費や退職せずに介護をする7つの方法について、プロが分かりやすくご案内しています。

この記事の作成者

融資部 部長
浜崎 雷Rai Hamazaki

【資格】管理業務主任者、宅地建物取引士
お客様の大切な所有不動産の評価を最大限に、ゆとりある生活のサポートをさせていただきます。「お客様の明日のために、今日、自分は何ができるか」を考え、日々奮闘しています。

親の介護で退職したら生活費は賄えるのか?計算してみた!

チェック項目は3点あります。

確認したうえで、問題ないなら退職を検討してください。

結論としましては、今、55歳なら、親の貯金が1,000万円以上あり、夫婦の貯金が4,800万円以上あるなら介護退職可能です。

足りなさそうなら、離職は危険ですので考え直してくださいね。

【チェック①】必要な費用を計算する

退職後に必要になる費用
  1. 生活費(自分+親)
  2. 親の介護費用
  3. 将来の備え

介護離職をする前に、必要な費用を計算してみてください。

生活費は、自分の家族だけでなく、親の分がかかります。

総務省が発表したデータによると、65歳以上の一人暮らしの平均消費支出は145,430円です(2023年)。

引用)総務省統計局 2023年(令和5年)家計調査報告(家計収支編)

自分の家族の生活費と足して、いくらになるか把握してくださいね。

また親の介護には、次の費用がかかります(費用は目安です)。

  • 親の介護に必要な費用
項目 費用目安(自己負担額)
住宅改修費(バリアフリー化) ~200万
介護保険サービス(自己負担1~3割) 月額1~3万円
介護用品購入(保険外) ~20万円
医療費(診察代・薬代・交通費) 月額1~2万円
おむつ代 月額0.5~2万円
介護食(嚥下力が低下している場合) 月額1.5~3万円

介護保険を適用した場合の自己負担は1割ですが、それでも月4万円以上かかってしまいます。

住宅改修費や介護用品を購入する場合は、さらにまとまった費用が必要です。

介護費用だけでなく、自分の将来の蓄えを考えなければいけません。

総務省によると、65歳以上の無職世帯(夫婦2人暮らし)における1か月あたりの消費支出は250,959円です(2023年)。

引用)総務省統計局 2023年(令和5年)家計調査報告(家計収支編)

例えば夫婦の生活費を1か月25万円として、年金が15万円で65歳から80歳まで生きるとします。

必要な貯蓄額は次の通りです。

65歳から80歳までの生活費の合計
  1. 1か月あたり10万円 ✕ 12か月 ✕ 15年 = 1,800万円

もし介護離職して貯蓄を使い果たしてしまうと、生活は苦しいですね。

【チェック②】親の年金や貯金を確認する

親のための介護である以上、介護費用は親の年金や貯金から優先的に捻出すべきです。

自分の将来のお金を考えて「親のお金で足りないようなら自分のお金を使う」という考え方をしてくださいね。

令和4年度における年金の平均受給額は次の通りです。

  • 年金受給額の平均
年金の種類 1か月あたりの受給平均額
国民年金(自営業者) 56,316円
厚生年金+国民年金(サラリーマン) 144,982円

引用)厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

先ほどご案内した通り、65歳以上の一人暮らし世帯における1か月あたりの平均生活費は145,430円です。

親が元サラリーマンの場合、1か月あたりの平均受給額は144,892円。

あわせて介護費用が毎月4万円かかるとすると、赤字額は次のようにどんどん膨れ上がっていきます。

赤字額の累計
  1. 1年:48万円以上
  2. 5年:240万円以上
  3. 10年:480万円以上
  4. 20年:760万円以上

バリアフリーのための住宅改修費(~200万円)や介護用品代(~20万円)を含めると、1,000万円貯蓄があっても+-ゼロです。

次の条件ではじめて介護退職が可能!
  1. 親1人の年金(約15万)では、生活費(約14.5万)と介護費で約4万円/月の赤字
  2. 介護リフォーム(~200万)、介護用品(~20万)がかかる
  3. ①と②を考えると親の貯金は1,000万円は必要
  4. 夫婦2人の生活費が約25万円で年金15万円の場合、65~85歳までに1,800万円必要
  5. 今55歳だと、65歳までに3,000万円必要(毎月25万円x10年)
  6. 今55歳なら、親の貯金が1,000万円以上あり、夫婦の貯金が4,800万円以上あるなら介護退職可能

【チェック③】離職介護のリスクを確認する

離職介護のリスク
  1. 再就職がむずかしい
  2. 社会から孤立する
  3. 精神的苦痛がある

金銭的な問題以外に、このようなリスクがあるため、離職はおすすめしません

40代や50代で退職すると、再就職は厳しいです。

社会復帰できなければ、孤立してしまいます。

さらに金銭的な苦しさが重なると、精神的な苦痛を味わうおそれがあります。

生活費で困らないために!退職せずに親の介護をする7つの方法

方法は7つあります。

大切なのは、自分1人で抱え込まず、公的な制度やサービスを上手に活用することです。

【方法①】介護休業を利用する

介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために、法律で認められた長期休業制度のことです。

親を1人介護する場合は、通算93日まで取得でき、休業前賃金月額の67%が「介護休業給付」として支給されます。

例えば毎月のお給料が40万円だとすると、介護休業給付として268,000円が国から支給されるということですね。

介護休業を取得する場合は、会社の人事部に申し出てください。

参考)厚生労働省「介護休業給付のQ&A

【方法②】介護休暇を取る

介護休暇とは、要介護状態にある家族の世話をするために、法律で認められた短期間の休暇制度のことです。

上限は介護者1名につき年間5日までで、1時間単位で取得できます。

例えば、介護保険の申請をしたり要介護者の病院に付き添ったりする場合は、会社に申し出れば休暇を取れます。

原則として無給ですが、有給休暇扱いとなるケースがあります。

会社の就業規則を確認してみてくださいね。

【方法③】地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターとは、介護に関する無料の相談窓口のことです。

具体的には、次のことを相談できます。

地域包括支援センターで相談できる7つのこと
  1. 介護保険の申請
  2. 介護認定の申請
  3. 介護サービスの情報
  4. 施設入居の相談
  5. 生活に関する相談
  6. 介護プラン作成
  7. 高齢者の権利擁護(虐待防止、成年後見制度のサポート)

運営は市区町村で、全国に5,400箇所以上、支社を含めると7,300箇所以上あります(令和5年4月現在)。

中学校1学区に1箇所の割合で、例えば東京の渋谷区には11施設が登録されています。

地域によって管轄は異なるため、自治体のホームページを確認してみてください。

【方法④】介護保険を申請する

介護保険とは、40歳以上の人全員に加入が義務付けられている公的な保険です。

要支援または要介護の65歳以上の人は、介護サービスを原則1割の自己負担割合で受けられます(所得によって2~3割)。

例えば、要介護3の高齢者が10万円相当の介護サービスを受けた場合、自己負担額は1万円です。

介護保険の支給限度額は、要介護度によって次のように定められています。

  • 介護保険の支給限度額
支給限度額 自己負担(1割の場合)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

支給限度額を超えた分は、全額自己負担です。

介護保険は、要介護認定を申請しないと受けられないので注意してくださいね。

申請は、お住いの市区町村もしくは管轄の地域包括支援センターでできますよ。

【方法⑤】介護サービスを活用する

介護保険(自己負担1割)で受けられるサービスは次の通りです。

介護保険で受けられるサービス
  1. 訪問介護(ホームヘルプ)
  2. 訪問入浴介護
  3. デイサービス、デイケアに通って受けるサービス
  4. ショートステイ(短期間の宿泊サービス)
  5. 福祉用具のレンタル・購入
  6. 住宅改修
  7. 施設で生活するサービス(介護保険施設、特定施設)
  8. 地域密着型の施設(グループホーム、小規模多機能居宅介護施設)

先ほどもご案内しましたが、介護は自分一人で背負いこんではいけません。

介護保険を申請すれば、これらのサービスを1割の自己負担で受けられます。

管轄の地域包括支援センターに相談すれば、担当のケアマネージャーが適切な介護プランを作成してくれますよ。

【方法⑥】高額療養費制度を使う

高額療養費制度とは、上限を超える医療費を支払った場合に、国から超過分が支給される制度のことです。

健康保険に加入していれば、全員利用できます。

例えば70歳以上で年収が約370万円~770万円の人の場合、自己負担上限額は次の通りです。

医療費の自己負担上限額(70歳以上・年収約370万円~770万円)
  1. 自己負担上限額=80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

総医療費が100万円で、自己負担額が3割の30万円だったとすると、次の金額が支給されます。

総医療費100万円・自己負担額30万円の場合
  1. 自己負担上限額=80,100円+(1,000,000-267,000円)×1%=87,430円
  2. 支給される金額=300,000円-87,430円=212,570円

自己負担限度額は、年齢や所得によって変わります。

差額ベッド代や入院時の食事代は対象外ですので、ご注意ください。

【方法⑦】自治体の独自サービスを利用する

住んでいる自治体によっては、独自の介護サービスがあります。

例えば次の通りです。

自治体の独自サービスの例
  1. 緊急通報システム
  2. おむつの支給
  3. 食事の宅配
  4. 住宅改修の助成
  5. 外出支援(タクシー、バス料金の助成)
  6. 定期巡回
  7. 訪問理美容
  8. マッサージ
  9. ゴミの戸別回収

内容は料金は自治体によって異なりますので、窓口で相談してみてくださいね。

親の介護で退職して生活費が足りない場合の2つの対処法

生活費が足りない場合の2つの対処法
  1. 生活保護を申請する
  2. 土地を担保にお金を借りる

方法は2つあります。

万が一の場合は、これらの制度を利用してくださいね。

【対処法①】生活保護を申請する

生活保護とは、国が生活に困窮する国民に対し、健康で文化的な最低限の生活を保障する制度のことです。

生活費が足りなくなったら、親世帯の生活保護受給を検討してください。

「親に生活保護を受けさせるなんて恥ずかしい」と言っている場合ではありません。

大切なのは、自分や親の破産を避けること。

生活保護は、自分と親の両方を救う有効な制度です。

生活保護を受給すると、生活に必要な次の費用が扶助されます。

生活保護で扶助されるもの
  1. 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
  2. アパート等の家賃
  3. 医療サービスの費用
  4. 介護サービスの費用

さらに生活保護を受給すると、医療費の負担がありません。

生活保護は世帯収入が基準額を超えると支給されないため、収入がある家族と同居している場合は「世帯分離」が必要です。

次の資産があると生活保護は支給されないので注意してください。

売却して生活費に充てられるからです。

あると生活保護を受けられないもの
  1. 不動産
  2. 自動車
  3. 生命保険
  4. 10万円以上の預貯金

不動産と自動車については、例外的に保有が認められるケースがあります。

【対処法②】土地を担保にお金を借りる

自己所有の土地や家があれば、次の方法でお金を借りられます。

土地や家を担保にお金を借りる方法
  1. 不動産担保ローン
  2. リバースモーゲージ
  3. リースバック

不動産担保ローンとは、土地や建物を担保にしてお金を借りられる金融商品のことです。

借り入れられる金額は、担保となる不動産評価額の6~8割ほどです。

例えば土地の評価額が2,000万円の場合、1,200万円~1,600万円借りられます。

不動産担保ローンの使いみちは自由で、生活費以外の費用に使えますよ。

担保にできるものは次の通りです。

不動産担保ローンで担保にできるもの
  1. 土地
  2. 一戸建ての建物
  3. 駐車場
  4. 区分マンション
  5. マンション一棟
  6. アパート一棟

浜崎
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リバースモーゲージとは、自宅を担保に生活資金を借り入れできる、高齢者向けの貸付制度のことです。

生存中は利息だけの返済で、亡くなったあと自宅を売却して元本の返済に充てます。

リバースモーゲージで借入できる額は、不動産評価額の50%ほどです。

例えば自宅が1,000万円の価値があるとすると、500万円まで借り入れることができます。

不動産担保ローンとは異なり、担保にできる不動産は都市部に限定されるケースがほとんどなので注意してください。

というのも、土地の評価額が低い地域だと、売却しても元本の返済額に届かないためです。

リースバックとは、自宅を事業者に売却し、新たに賃貸借契約を結ぶ取引方法です。

例えば、親が住んでいる自宅をいったん売却し、その物件と新たに賃貸借契約を結びます。

こうすることで、まとまった売却金額を手に入れられるだけでなく、そのまま住み続けることができます。

固定資産税の支払いがなくなるため、負担を減らせる効果がありますよ。

親の介護で退職した場合の生活費まとめ

親の介護で退職したときに必要な生活費や離職せずに介護をする方法と、生活費が足りなくなった場合の対処法をご案内しました。

介護離職せずに介護する方法は7つありますので、ぜひ活用してください。

生活費が足りなくなった場合は、生活保護や不動産を担保にお金を借りることを検討してくださいね。

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