「不動産売却でつなぎ融資ができるって聞いたけど、条件はあるのかな?」
「つなぎ融資と不動産担保ローンって何が違うの?」
このように困っていませんか?
この記事では不動産売却で利用するつなぎ融資について、プロが分かりやすくご案内いたします。
目次
不動産売却時に利用されるつなぎ融資とは
不動産売却が完了するまでの間に必要な資金を借りることです。
売却予定の不動産が担保です。
Aさんは、5,000万円の自宅を売却して6,000万円の新居を購入する予定です。
自宅の売却が完了する前に新居の購入が決まり、購入資金が必要となりました。
手持ちの資金が2,000万円不足したため、売却予定の自宅を担保に、2,000万円のつなぎ融資を利用しました。
売却代金で融資を一括返済し、新居購入と売却をスムーズに進められました。
B社は、紹介で人気エリアの9,000万円の物件を見つけました。
リフォーム費用は1,500万円を見込んでいます。
ですが手元にある資金は5,000万円のみです。
B社はつなぎ融資を利用し、不足分の5,500万円を調達し、物件を購入しました。
転売後に売却益が入ったタイミングで5,500万円の借入金を返済しました。
不動産担保ローンとの違い
- つなぎ融資と不動産担保ローンの違い
つなぎ融資 | 不動産担保ローン | |
---|---|---|
融資期間 | 1〜2年以内 | 10年以上 |
不動産の売却 | 必要 | 不要 |
返済方式 | 元金一括返済方式 | 元利均等返済方式 |
金利 | 2〜9% | 1〜9% |
つなぎ融資と不動産担保ローンは返済方式が異なります。
つなぎ融資は不動産の売却益で一括全額返済を行います。
不動産が売却できるまでの毎月の返済は利息のみです。
不動産担保ローンは毎月返済をします。
つなぎ融資の融資期間は通常1年で、長くても2年です。
不動産担保ローンは返済期間が長く、低金利です。
不動産売却時につなぎ融資を受ける3つのメリット
それぞれ詳しくご案内しますね。
【メリット①】売却益を待たずに新たな不動産の購入ができる
通常の不動産売買では、不動産が売れてから、その売却益で新しい不動産を購入します。
ですが、つなぎ融資の場合は、売却益が出る前に新しい不動産購入に必要な資金を準備できます。
そのため、気に入った不動産や人気不動産が見つかったときに売却益を待たずに購入できます。
【メリット②】納得できる価格で不動産を売却できる
不動産売却中に次の不動産が見つかった場合、手元に購入資金がないと、不動産を急いで売却して購入資金を捻出する必要があります。
売却を急ぐあまり、安売りをしてしまうことがあります。
つなぎ融資を利用すると、資金調達がスムーズにできるため、売却を急ぐ必要がありません。
その結果、安売りせず、納得できる価格で販売の交渉ができます。
C社は、都内の約1億5,000万円前後の物件を見つけましたが、手元には購入資金がありません。
急がないと他社も発見して、値段が高くなる可能性が高いです。
そこで、自社で所有しているオフィスビルを担保にして、つなぎ融資を利用し、必要な資金を先に確保しました。
余裕をもって交渉をした結果、希望通りの価格で物件を購入しました。
購入した物件をリフォームし、2億円で売却してつなぎ融資を返済しました。
【メリット③】仮住まいの確保が不要となる(住み替えの場合)
住み替えのために今住んでいる家を売却する場合、新居を購入するまでの間は仮住まいが必要です。
つなぎ融資を利用すると、今住んでいる家の売却益を待たずに新しい家を購入できるため仮住まいが不要です。
結果として仮住まいを準備する時間や資金が削減できます。
Dさんは住み替えを検討中です。現在の自宅の売却期間中は家を空ける必要がありました。
その間は一時的に仮住まいを用意する予定でしたが、費用や手間が大きな負担でした。
そこでDさんはつなぎ融資を利用し、売却益を待たずに新居を先に購入。
仮住まいをせずに済みました。
不動産売却時につなぎ融資を受ける3つのデメリット
それぞれ詳しくご案内しますね。
【デメリット①】金利が高い
不動産売却時に利用するつなぎ融資は、住宅ローンよりも金利が高いです。
- 金利の違い
金利 | |
---|---|
つなぎ融資 | 2〜9% |
不動産担保ローン | 1〜9% |
住宅ローン:変動 | 0.3〜0.5% |
住宅ローン:固定 | 1.4〜1.8% |
金利は金融機関によって異なります。
【デメリット②】つなぎ融資をしている金融機関は限られている
メガバンクや地方銀行ではつなぎ融資を取り扱っていないことがあります。
そのため、不動産売却でつなぎ融資を利用したくても取り扱い自体がないため利用できません。
ノンバンクの多くで不動産売却で利用できるつなぎ融資を取り扱っています。
【デメリット③】1~2年以内に全額返金が必要(融資会社の条件による)
つなぎ融資は1年〜2年で全額返金しなくてはなりません。
不動産売却が成立しない場合でも一括で全額返金をします。
融資期間の延長はできません。
不動産売却でつなぎ融資がおすすめなケース
それぞれ詳しくご案内しますね。
①不動産を売却して新たに不動産を購入するケース
現在所有している不動産を売却して、新たな不動産を購入する予定のある人は、不動産売却でつなぎ融資の利用がおすすめです。
現在購入したマンションに住んでいます。
家族が増えたため、より広い一戸建てに引っ越すことを考えています。
理想的な物件が見つかり、購入を決めたいのですが、現在のマンションの売却が完了するまでには時間がかかりそうです。
つなぎ融資を利用することで、売却前に新居の購入資金を確保できます。
②売却が見込める不動産をもっているケース
不動産売却で利用するつなぎ融資は、不動産の売却益で融資を一括返済します。
そのため、売却に出している不動産が万が一売れないとなった場合には、返済ができなくなってしまいます。
返済できない場合には遅延損害金が発生し、追加の費用が発生してしまいます。
売却が見込める不動産を所有している場合にはつなぎ融資はおすすめできます。
E社は、あるエリアに収益物件を見つけました。
ですが、リフォーム後に売却しようとしても、なかなか買い手が付きません。
売却できないと返済ができなくなってしまいます。
そこで、E社が所有しているオフィスビルを担保にして、つなぎ融資を利用し、返済をしました。
つなぎ融資の返済期間中に物件が売却でき、その売却益で返済をしました。
③売却する不動産の抵当権を抹消したいケース
売却不動産の抵当権を抹消したいケースでは、つなぎ融資が有効です。
抵当権とは、ローンを返済できない場合に金融機関が不動産を差し押さえる権利のことです。
Fさんは相続により古い戸建てを受け継ぎましたが、その物件には住宅ローンが残っており、抵当権が設定されています。
このままでは売却できず、相続税や代償金の支払いに困っていました。
そこで、つなぎ融資を利用することにしました。
つなぎ融資で得た資金で住宅ローンを完済し、抵当権抹消登記を行いました。
不動産売却時につなぎ融資を受けるまでの流れ
- 申し込み
- 審査
- 契約
- 手数料の支払い
- 融資実行
- 不動産売却
- 売却益で一括返金
つなぎ融資の申込みから融資実行までの期間は、一般的には1〜2カ月です。
不動産売却でつなぎ融資を受ける際の審査内容は以下の通りです。
- 売却する不動産の価値
- 信用情報
- 収入
申込みに必要な物は以下の通りです。
- 本人確認書類
- 収入を証明する書類
- 不動産取引に関連する書類
- 登記簿謄本
- 融資申込書
- 印鑑証明書
- 実印
不動産取引に関連する書類は、売買契約書や重要事項説明書、建築工事請負契約書などです。
収入を証明する書類は、給与明細書や源泉徴収票、確定申告書などです。
つなぎ融資を受けるための費用項目は以下の通りです。
- つなぎ融資を受けるための費用項目
費用項目 | 目的 |
---|---|
事務手数料 | 金融機関に支払う |
印紙代 | 契約書に貼る |
金利 | 金融機関に支払う |
短期団体信用生命保険料 | 保険料 |
事務手数料の金額は金融機関によって異なります。
印紙代は借入額によって異なります。
1,000万円以上5,000万円以下の借り入れの場合は、印紙代は20,000円です。
5,000万円以上一億円以下の借り入れの場合は、60,000円の印紙代が必要です。
参考)国税庁「印紙税額の一覧表」
不動産売却のつなぎ融資を利用できる3つの金融機関(不動産事業者向け)
不動産事業者向けに不動産売却につなぎ融資を利用できる金融機関をご案内します。
丸の内AMS
丸の内AMSは事業者向けにつなぎ融資を行っています。
不動産の価値を最大限に評価しています。
返済期間が10年あるため、ゆとりを持って不動産売却ができます。
- 丸の内AMSのポイント
返済期間 | 10年 |
金利 | 年率3.8%〜(実質年率15.0%以下) |
融資額 | 5億円 |
融資日数 | 最短2日 |
対象年齢 | 20歳以上 |
SBIエステートファイナンス
SBIエステートファイナンスは最大10億円のつなぎ融資を行っています。
個人・法人問わず利用できます。
専任スタッフがワンストップで担当します。
- SBIエステートファイナンスのポイント
返済期間 | 1年 |
金利 | 年率2.70〜7.50%(実質年率15.0%以下) |
融資額 | 10億円 |
融資日数 | 最短翌日 |
対象年齢 | 制限なし |
三井住友トラスト・ローン&ファイナンス
三井住友トラスト・ローン&ファイナンスは不動産担保融資の専門金融機関です。
三井住友トラストグループの一つで、三井住友信託銀行100%出資です。
- 三井住友トラスト・ローン&ファイナンスのポイント
返済期間 | 1年 |
金利 | 年率3.05〜5.40%(実質年率15.0%以下) |
融資額 | 10億円 |
融資日数 | 不明 |
対象年齢 | 年齢制限なし |
不動産売却のつなぎ融資を利用できる3つの金融機関(住み替えの方向け)
住み替えの方向けに不動産売却につなぎ融資を利用できる金融機関をご案内します。
セゾンファンデックス
セゾンファンデックスは住み替えの方向けにつなぎ融資を行っています。
住み替え不動産の購入以外にも老人ホーム入居資金や賃貸への住み替え資金にも利用可能です。
- セゾンファンデックスのポイント
返済期間 | 2年 |
金利 | 年率3.65〜9.90%(実質年率15.0%以下) |
融資額 | 5億円 |
融資日数 | 不明 |
対象年齢 | 20歳以上80歳以下 |
新生インベストメント&ファイナンス
新生インベストメント&ファイナンスはSBI新生銀行グループの金融機関です。
住み替えの方向けにつなぎ融資を行っています。
- 新生インベストメント&ファイナンスのポイント
返済期間 | 1年 |
金利 | 年率2.95〜5.65%(実質年率15.0%以下) |
融資額 | 10億円 |
融資日数 | 最短一週間 |
対象年齢 | 制限なし |
アサックス
アサックスは住み替えの方向けにつなぎ融資を行っています。
最短3日で融資が可能です。
- アサックスのポイント
返済期間 | 2年 |
金利 | 年率1.95〜6.90%(実質年率15.0%以下) |
融資額 | 10億円 |
融資日数 | 最短3日 |
対象年齢 | 制限なし |
まとめ
不動産売却のつなぎ融資をご案内しました。
不動産売却時のつなぎ融資は多くのメリットがありますが、高金利や短期間での返済義務などデメリットが存在します。
利用する際には十分な計画と市場調査が重要です。