共有不動産は売却できる?4つの売却方法・流れ・注意点を徹底解説!

投稿日:2024年11月27日

「共有不動産って売却できるの?」
「共有不動産を売却するには、どうすればいいの?」

共有不動産は売却ができます。

ですが、売却する際にはポイントを押さえておかないと、思わぬトラブルにつながることがあります。

この記事では、共有不動産売却時の方法、流れ、注意点について、プロが分かりやすくご案内します。

この記事の作成者

融資部 部長
浜崎 雷Rai Hamazaki

【資格】管理業務主任者、宅地建物取引士
お客様の大切な所有不動産の評価を最大限に、ゆとりある生活のサポートをさせていただきます。「お客様の明日のために、今日、自分は何ができるか」を考え、日々奮闘しています。

共有不動産とは?

共有不動産とは、複数人で所有権を持つ不動産のことを指します。

具体的には次の通りです。

共有不動産の例
  1. 親から相続した実家を兄弟で所有する場合
  2. 夫婦共同でマイホームを購入した場合

共有不動産では、共有持分(共有割合)が決められており、それぞれがその持分に応じた権利と義務を有しています。

共有不動産の売却方法とポイント

共有不動産全体を売却するには共有者の合意が必要です。

1人の判断ではできません。

ですが、あなたの共有持分だけなら、単独で自由に売却できます

他の共有者との協議が困難なら、あなたの持分だけの売却をご検討ください。

共有不動産を売却する方法は4つあります。

それぞれの方法とポイントをご案内します。

【方法①】仲介業者に売却を依頼する

不動産仲介業者を通じて第三者に不動産を売却するという方法です。

メリットは次の通りです。

仲介業者に売却を依頼するメリット
  • 買取よりも高値で売却できる
  • 売却にあたって不動産会社からサポートを受けられる
  • 持分売却後の共有者とのトラブルが少ない

仲介業者を選ぶ際は、次のポイントを押さえてください。

押さえるべきポイント
  • 取引実績が豊富か
  • サポートが充実しているか
  • コミュニケーションが丁寧か

【方法②】買取業者へ売却する

不動産の自社買取を行っている業者に売却という方法です。

メリットは次の通りです。

買取業者へ売却するメリット
  1. 早く売却できる
  2. 仲介手数料がかからない
  3. 契約不適合責任がない

短期間で売却できるのは魅力的ですが、次のようなリスクがあります。

考えられるリスク
  1. 市場価格よりもかなり安い価格でしか売却できない
  2. 買取業者の無理な交渉によりトラブルに発展するケースがある

買取業者を選ぶ際は、次のポイントを押さえてください。

押さえるべきポイント
  1. 買取実績が豊富か
  2. コミュニケーションが丁寧か
  3. 査定額の根拠をしっかり提示してくれるか

【方法③】他の共有者へ売却する

共有持分を他の共有者に買い取ってもらうという方法です。

共有者と交渉して売買価格を決める必要があるため、売買金額で揉める場合があります。

また、相場よりも極端に安い価格で売却してしまうと、贈与とみなされることがあります。

そうなると、持分を購入した共有者に贈与税が課されてしまいます。

防ぐには、不動産鑑定士に鑑定をしてもらい、適正価格で売却するようにしてください。

不動産鑑定は法律に基づく評価方法であるため、公的な証拠資料として利用できます。

【方法④】分筆して売却する(土地の場合)

分筆とは、1つの土地を複数の土地に分割して登記する手続きのことです。

共有不動産が土地の場合は、分筆することで共有状態が解消され、単独名義にできます。

所有者が自由に活用できるようになるため、市場価格で売却できます。

買い手が付きやすいです。

ただし、小さい土地や形がいびつな土地の場合、まれに分筆したことで不動産の価値が下がる場合もあります。

共有不動産を買取業者に売却すると起こるトラブル

共有不動産を買取業者に売却すると、次のようなトラブルが発生することがあります。

  • 買取業者からしつこい営業を受ける
  • 買取業者が他の共有者に営業をかける
  • 買取業者が共有物分割請求をする

売却のために買取業者に見積もり依頼をすると、それ以降連絡が頻繁に来るようになります。

不動産の売却後、他の共有者に売却をしつこく迫ったり、売却の合意が得られない場合は共有物分割請求をしたりすることがあります。

その結果、他の共有者との関係が悪化してしまうことがあります。

より詳しくは、こちらの「共有持分の買取業者の利用で起こる3つのトラブル!業者選びは慎重に」をご覧になってください。

共有不動産を売却する流れと書類、費用、税金を解説

売却する流れ、必要書類や費用、税金をご案内します。

共有不動産売却の流れ

共有不動産を売却する際の流れは、次の通りです。

共有不動産を売却する際の流れ
  1. 不動産の共有者を確認して合意を得る
  2. 不動産の査定を依頼する
  3. 売却を依頼する不動産会社を決める
  4. 売買契約を締結する
  5. 所有権移転登記を行い不動産を引き渡す

不動産全体を売却するには、共有者全員の合意が必要です。

協議がまとまらない場合や、連絡が取れない共有者がいる場合は、弁護士などに相談してください。

共有持分のみの売却は単独で可能ですので、他の共有者との話し合いは必要ありません。


浜崎
共有持分のみ単独で売却しても、売却した不動産の登記簿謄本を確認されなければ、通常は、売却したことを他の共有者に知られることはありません。

共有不動産売却に必要な書類

共有不動産を売却する際に必要な書類は、次の通りです。

  1. 登記識別情報通知(または登記済権利証)
  2. 実印・印鑑登録証明書
  3. 身分証明書・住民票
  4. 地積測量図及び境界確認書(土地の場合)
  5. 委任状(共有者が契約・引渡しに立ち会わない場合)
  6. 固定資産税・都市計画税納税通知書
登記識別情報通知(または登記済権利証)とは

不動産の登記が完了した際に、登記名義人に対して登記所から通知される書類。

2006年までは登記済権利証という書類が発行されていましたが、現在は12桁の英数字からなる登記識別情報が記載された登記識別情報通知が交付されます。

地積測量図とは

土地の面積や形状、境界標の位置や種類などが記載された公的な図面。

法務局の窓口やインターネットで申請することで取得できます。

境界確認書とは

隣地との土地の境界を明確にするために作成される書類。

地方自治体や測量士に作成を依頼するのが一般的です。

共有不動産売却にかかる費用と税金

共有不動産を売却する際にかかる費用と税金は、次の通りです。

  1. 共有不動産売却にかかる費用
項目 内容
司法書士報酬 不動産の登記申請の際に司法書士に支払う報酬。
2~10万円程度が相場。
仲介手数料 不動産会社に売却の仲介を依頼した際に、不動産会社に支払う手数料。
売却金額によって上限が異なる。
・200万円以下:売却金額×5%+消費税
・200万円超400万円以下:売却金額×4%+2万円+消費税
・400万円超:売却金額×3%+6万円+消費税
登録免許税 不動産の登記申請時にかかる税金。
売主が負担する抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1つにつき1,000円。
印紙税 不動産の売買契約書作成時にかかる税金。
売買する不動産の価格に応じて異なり、200円~最大48万円。
譲渡所得税・住民税 不動産の売却で利益が出たときにかかる税金。
不動産の保有期間により税率が異なる。
・保有期間が5年超:譲渡所得×20.315%(500万円で売却した場合、)
・保有期間が5年以下:譲渡所得×39.63%

共有不動産を売却したことで譲渡所得が発生した場合は、譲渡所得税と住民税を納付する必要があるため、確定申告が必要です。

譲渡所得がない(譲渡損失)場合、確定申告は任意です。

共有不動産を売却した際の3,00万円特別控除について

3,000万円特別控除とは、居住用財産(マイホーム)を売却した際に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる制度のことです。

上記のとおり、不動産を売却して利益が出るとその利益に対して税金が発生しますが、3,000万円特別控除の特例を利用することで税額を軽減できます。

売却した居住用財産が共有名義の不動産の場合は、各自の共有持分に対して、それぞれ3000万円特別控除を使うことが可能です。

例えば、次の場合は税金は発生しません。

譲渡所得金額が4,000万円で夫と妻の持分割合が3/4:1/4の場合

夫 譲渡益3,000万円−特別控除額3,000万円=0円
妻 譲渡益1,000万円−特別控除額1,000万円=0円

共有不動産を売却するなら仲介業者に

それぞれご案内します。

一般社団法人 共有持分支援協会

あなたの共有不動産の持分を売却できます。

超高齢社会の中で社会問題化する共有不動産の問題に、社団法人の立場で対応している協会です。

協会には解決手段として次の3つの方法があります。

  • 高く・早く売却する
  • 一部を売却する
  • リースバック(住み続ける)

仲介ですので、高く、早く売ることにももちろん対応しています。

物件が一定期間内に売れなかった場合は、協会が買取をします。

持分だけでも売却できるので、単独名義にするのが難しい場合はご相談ください。

三井のリハウス(三井不動産リアルティグループ)


共有不動産の持分だけでは対応していません。

単独名義にした場合に利用できます。

三井のリハウスは、1969年に設立された三井不動産リアルティ株式会社が運営する不動産仲介事業者です。

38年連続で全国売買仲介取扱件数No.1の事業者です。

不動産を売却する前に建物と設備の状態を無料点検してくれる「360°サポート」を提供するなど、サポート面が充実しています。

単独名義にできたら相談してみてください。

東急リバブル(東急不動産ホールディングス)

共有不動産の持分だけでは対応していません。

単独名義にした場合に利用できます。

東急リバブルは、1972年に設立された大手不動産会社です。

取引高は三井のリハウスに次いで第2位で、首都圏に強いです。

物件が一定期間内に売れなかった場合に東急リバブルが買い取ってくれる売却保証サービスがあるため、安心です。

単独名義にできたら相談してみてください。

共有不動産売却に関するよくあるQ&A

共有持分を売却したらどうなる?

第三者に共有持分を売却した場合、持分の購入者と他の共有者は1つの不動産を共有することになります。

購入者は不動産に関する権利を主張できるため、他の共有者に対して、賃料の配分や税負担について協議を持ちかけることが可能です。

共有不動産の売却相場はどれぐらい?

第三者に共有持分を売却する際の相場は、市場価格の3〜6割程度になるのが一般的です。

例えば、共有不動産の市場価格が2,000万円、持分割合が2分の1の場合、300〜600万円程度が相場です。

共有不動産売却のまとめ

共有不動産の売却は複雑に思えるかもしれませんが、ポイントを押さえればきっと解決への道が見えてきます。

「自分たちの場合はどうすればいいの?」といったご不安やご質問がありましたら、ぜひ丸の内AMSにご相談ください。

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